神戸地方裁判所 昭和54年(行ウ)27号 判決
尼崎市昭和通四丁目六三番四号白頭山ビル内
原告
小山五郎
右訴訟代理人弁護士
長池勇
尼崎市西難波町一丁目八番一号
原告
尼崎税務署長
小林武
右訴訟代理人
大堅敢
同
小林修爾
同
浅田安治
同
上田富雄
同
竹見富夫
同
角田則彦
主文
原告の本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
原告は「被告が原告に対し、昭和四五年八月二六日付をもつてなした原告の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの同年分の所得税額を金一、五六八万六、一〇〇円、無申告加算税額を金一五六万八、六〇〇円とする課税処分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求原因として、次のとおり述べた。
一 被告は原告に対し、昭和四五年八月二六日付をもつて、原告の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの同年分の所得税につき、その所得税額を金一、五六八万六、一〇〇円、無申告加算税額を金一五六万八、六〇〇円とする課税処分をした。
二 そこで、原告は昭和四五年一〇月二二日被告に対し、右課税処分につき異議申立をしたが、被告はこれを棄却した。
三 よつて、原告は被告に対して右課税処分の取消を求める。
被告は、本案前の答弁として、主文同旨の判決を求め、その理由として、次のとおり述べた。
一 原告は、その主張の所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分について、昭和四五年一〇月二三日に異議申立をしたが、被告は、昭和四六年一月二〇日にこれを棄却する旨の決定をなし、そのころ原告に右異議申立棄却の決定書の謄本を送達した。
二 しかるに、原告は、国税通則法七五条三項所定の審査請求を経ないで、本件訴を提起した。
三 よつて、原告の本件訴は不適法として却下さるべきである。
被告は、仮りに原告の本件訴が適法であるとすれば、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、請求原因に対する答弁として、次のとおり述べた。
一 請求原因一の事実は認める。
二 同二の事実は認める。但し、原告が異議申立をしたのは昭和四五年一〇月二三日である。
証拠として、被告は乙第一号証の一、二を提出し、原告は乙号各証の成立は認めると述べた。
理由
国税通則法一一五条一項本文、七五条三項によれば、原告主張の所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分に対する取消の訴は、当該処分についての審査請求に対する国税不服審判所長の裁決を経た後でなければ、提起することができない旨規定されているところ、成立に争いのない乙第一号証の一、二、並びに弁論の全趣旨を総合すれば、原告は昭和四五年一〇月二三日被告に対し右処分につき異議申立をしたところ、昭和四六年一月二〇日被告より右異議申立を棄却する旨の決定を受けたが、右決定につき、国税不服審判所長に対して国税通則法七五条三項所定の審査請求を経由しないまま本訴を提起したことが明らかである。
そうすると、原告の本件訴は審査請求を経ないで提起された不適法なものというべきであるから、本件訴は却下することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 西内辰樹 裁判官田中俊夫、同法常格は転任のため署名捺印することができない。裁判長裁判官 西内辰樹)